Cider World Awardについて

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新型コロナウイルス感染症流行拡大により、Cider World’20は8月15日-16日に延期されています。

本記事は、2019年開催のCider World’19についてご紹介しています。

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▲Apfelwein International代表 Michael Stöckl氏

World Cider Awardは、ドイツ フランクフルトで開催される国際的なシードル審査会です。

国際的な審査会には、日本でも有名な International Cider Challenge(イギリス)や、2017年から日本で始まったFuji Cider Challengeなどがありますが、

World Cider Awardは前身であるPomme d’Or Awardから10年以上の実績をもちます。

2017年からは、白ワインの権威としても有名なガイゼンハイム大学との連携が始まり、科学的な分析を伴う審査が行われています。

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▲ガイゼンハイム大学 Anja Rheinberger教授(右)

昨年は幸運なことに、Cider World’19の審査に参加することができました。

今年は新型コロナウイルス感染症の流行による不安定な情勢があり辞退しましたが、日本の皆さんに少しでもCider World Awardを知っていただけるよう、ご紹介します。

掲載するデータ及び写真は、Apfelwein International UGよりお借りしました。

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Cider World ‘19の授賞式は、2019年3月30日に、フランクフルト市のパルメンガルテンにおいて、350名を超えるゲスト(インポーター、報道関係者、生産者、審査員など)を対象に開催されました。

翌日には Apfelweinmesseが開催されています。

2019年の審査には、発泡性や非発泡性、ベリー類やホップを浸漬させたフレーバードといった各カテゴリに対し、18か国の56生産者から、134製品が出品されました。

エントリーがあった製品は、ガイゼンハイム大学の飲料技術研究所で、Prof. Dr. Frank Willの指導のもと分析され、次いで、国際審査員による120ポイントスキームの官能審査を受けます。

審査の結果、Cider World ‘19では、金賞27品、銀賞42品、栄誉賞(銅賞)41品が選ばれ、さらに各カテゴリの最高得点を得た製品にはCiderWorld Medal 2019が授与されました。

審査結果はこちらから。

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▲Sparkling Cider部門最高賞/Anderdog | Torgglerhof | 南チロル | イタリア

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▲Ice Cider部門/Bizi-Goxo 2015 | Zapiain | バスク | スペイン

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▲Sparkling Cider部門/The Muse | Angry Orchard | アメリカ

Cider World Awardは、明確な2つの目的をもって毎年開催されています。

ひとつは、消費者や小売業者に高品質な製品の情報を届けること。受賞した製品が付けるCider World Awardマークは、高品質を証するものであり、飲み手は選びやすくなります。

ふたつめは、製品に対して、透明性があり、質の高い審査を実施することです。出品した生産者には、化学分析及び官能分析の結果が通知され、さらなる品質改良に活用することができます。

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▲国際審査員もセレモニーに参加しました。

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▲2019年ゲスト国はルクセンブルグ。(メッセ開会式のプロモーションフィルムを背景にしたプレゼンがすごく良かった。初参加の2011年当時を思い出し、動画の時代を痛感。)

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審査を通じて感じたこと

Cider World Awardの2つの目的は、いずれも、古くて新しいシードル市場の底上げに非常に効果的であると考えられます。

まだまだ小さなシードル市場においては、まず何より、消費者がシードルを知り、選んでもらうことが必要です。

受賞マークを頼りに製品を選ぶこと、一定の品質をもつ製品を飲み、また飲みたいという想いを感じてもらうことは、シードル市場全体に波及する効果をもたらします。

カテゴリ分けと国際審査員による評価は、スタイルの多様性や、産地らしさの保全につながっています。

2019年の官能審査では、130超の製品を6グループに分けて審査しましたが、各グループにはドイツ、イギリス、スペイン、アメリカなどの傾向があり、その傾向に向く審査員が配置されていました。

カテゴリやスタイルによるので単純に生産国では分かれていませんが、とくに伝統的なスタイルにおいては重要な配慮です。

私の担当したグループでは、イタリア産の審査を比較的多く担当しました。生食用品種から造られるシードルということで受け持ったと考えていますが、イタリアの品質の高さに魅了されました。

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▲審査はもちろん、産地とカテゴリ以外の情報はなくブラインド※ですが、審査後はやっぱり生産者に会いたい。

※基本、各グループのテーブルマスターだけ、アルコール度数とガス圧の分析結果まで知ることができる。

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▲彼女のシードルは日本でも流通しています/Floribunda |Egger Franz | 南チロル | イタリア

日本国内でイタリア産シードルの流通は当時まだ少なかったこともあり、残念ながら渡航前までに飲用経験はなく、無論、産地に赴いた経験もありませんでした。

しかし、普段、私が南信州で飲んでいるシードルと似たニュアンスを感じ、落ち着いて審査をすることができました。

遠い異国の地で、私に色々な経験をさせてくれている地域の生産者に改めて感謝しました。

今回の審査では、生食用品種のシードルは、ひとつのスタイルで、産地の典型として認められつつある、と感じました。

生食用品種=低品質なシードルではありません。この理由だけで日本産シードルを蔑むことは、知らないうちに世界の多くの生産者に失礼な考え方をしているとも言えます。

さらに、イタリア産からCiderWorld Medalはじめ多くの受賞が出たことは、日本の生産者を勇気づけます。

今、日本の産地が取り組んでいる、生食用リンゴをベースにしつつ、赤果肉や醸造用品種にアプローチすることが実を結ぶ可能性を感じられたからです。

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2020年の審査員の辞退は残念でしたが、心をかき乱されるほど悔しいとか悲しいといった感情は沸いていません。

それは、シードルは産地とともにあるお酒だからです。今は会えなくても、真摯にリンゴと向き合い、シードルと向き合っていれば、オンラインでも、リアルでも、いつか必ず産地同士で心を通わせるときがくる。そう考えています。

養成講座などで、私はよく、シードルは究極の地産地消のお酒である、と説明しています。

一部の産地を除いて、こんなに流通手段が発達するまでは産地の外で飲まれることは稀で、投機の対象になるとかそういったお酒でもなかったからこそ、シードル、サイダー、ハードサイダー、シドラ、アプフェルヴァイン(はたまた「あれ」とか「それ」とか?)など様々な名前で呼ばれてきたと考えられます。

国際的に呼ぶときはCiderとすると共通にルールを決めたとしても、国際的な名称を統一するなんてナンセンス。日本では「シードル」と呼ぶことさえ、日本にしかない歴史が隠されています。

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▲ヘッセン州伝統のアップルワイン用ピッチャー「ベンベル」

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▲ヘッセン州伝統のグラス「ゲリプテス」にかぶせるフタ。メダルのモデルになっている。

一方で、ニューワールドであれ、オールドワールドであれ、グローバルに流通する数多くのお酒の中からシードルが選択される、或いは一緒に楽しんでもらえる方法を探求し続けていることも、それぞれの産地特有の文化や違った市場にあっても、普遍的なことです。

まさに成長途中であったシードル産業はコビットの流行により大打撃を受けるのか、それともローカルの底力を発揮するのか。

それぞれのシードル産地は遠く離れていても、お互い励まし合い、学びあっていけたらと思います。

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CIDRE LANDSのHaritzさんにご挨拶できたのも希望につながりました。シードルツーリズムも頑張ります。

まだまだ、私が私たちの産地でしなければならないことはたくさんあります。

1年後にこの記事を書いているのも、先送りにしていた私自身の課題のひとつです。

この記事を通じて、2020年が難しければ2021年以降でも、Cider World Awardの出品やメッセへの出展に興味を持っていただけたら嬉しいです。

(文責 矢澤)

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